
アフリカ開発銀次期総裁候補、25年「5〜6%成長目指す」
アフリカ開発銀次期総裁候補、25年「5〜6%成長目指す」
17/03/25 09:45
アフリカ開発銀行(AfDB)の次期総裁候補で、世界銀行でアフリカ地域の開発戦略を主導したサミュエル・マインボ氏が日本経済新聞の取材に答えた。アフリカの経済成長率を2025年に「5〜6%の水準に引き上げる」と述べた。エネルギーやインフラ、教育分野でより実効性のある投資を実現し、格差の是正が急務との考えを示した。
アフリカ開発銀行(AfDB)の次期総裁候補で、世界銀行でアフリカ地域の開発戦略を主導したサミュエル・マインボ氏が日本経済新聞の取材に答えた。アフリカの経済成長率を2025年に「5〜6%の水準に引き上げる」と述べた。エネルギーやインフラ、教育分野でより実効性のある投資を実現し、格差の是正が急務との考えを示した。
アフリカ開銀によると、24年のアフリカの成長率は3.2%だった。マインボ氏は成長傾向は続いているものの、十分な雇用を生み出すには至らず、人々の生活水準は悪化していると説明した。
アフリカでは総人口の半分にあたる6億人が電気を利用できないなど、エネルギー面での格差が深刻だ。マインボ氏は「エネルギー部門への投資を増やさなければ、格差は解消できない」と強調した。アフリカ開銀が最低でも年間1000億ドル(約15兆円)と、現状の4倍以上の額を投じる必要があると語った。
アフリカ開銀と世銀は24年4月、30年までにアフリカに住む3億人への電気供給を目指すプログラム「ミッション300」を発表した。マインボ氏 は発電所の建設や配電網の整備を進めるためには、各国の民間セクターからの投資が欠かせないと述べた。
発電手法は「クリーンエネルギーであることを確実にしたい」と強調した。先端技術を持つ日本の民間企業などにプログラムへの参画を促した。
マインボ氏はインフラ整備の必要性についても言及した。アフリカではインフラが貧弱なことで輸送コストが高騰していると指摘。道路や港湾の整備が進めば、栄養が不足している地域に食料が届きやすくなると説いた。
デジタルインフラの拡充にもふれた。インターネットやドローンを使い、遠隔地への支援を充実させると述べた。デジタル技術を教育にも導入し、全ての人が情報通信技術によって活躍できるデジタル・インクルージョン(包摂)の実現を目指すとした。
現在、アフリカ開銀の総裁を務めるアデシナ氏の任期は5月に終わり、後任は投票で選出される。ザンビア出身のマインボ氏を含む5人が立候補した。同氏は南部アフリカ開発共同体(SADC)や東南部アフリカ市場共同体(COMESA)の首脳から支持を集め、有力候補と目されている。
(三好博文)
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